明治大学農学部の英語:試験概要
2021年入試は以下のとおり。
60分と試験時間が短いので時間配分を間違えないように。
- 時間:60分
- 配点:150点(2019年、2020年は120点)
- 問題数:大問3つ
- 解答形式:選択式と一部記述式
※最新および正確な情報については大学のホームページなどで必ず確認してください。
大問構成
2015年から2021年までは、次のとおり。
2014年までは大問2は大問1と同じく長文問題だった。当面はこの構成が続くと思われる。
大問1:長文読解をメインとした総合問題
大問2:会話長文の読解をメインとした総合問題
大問3:多義語
出題分野および小問形式による傾向分析
大問1の傾向
大問1の小問形式は次のとおり。同意表現、空所補充、内容説明、語句整序、内容真偽の形式が多い。
- 大問1
- 語形変化
- 同意表現 (頻出)
- 同一用法
- 空所補充 (頻出)
- 内容説明 (頻出)
- 語句整序 (頻出)
- 発音・アクセント (大体出る)
- 語彙
- 下線部説明
- 内容真偽 (頻出)
大問2の傾向
大問2の小問形式は、内容説明、同意表現がほとんどといってもいい。
- 大問2
- 内容説明 (頻出)
- 同意表現 (頻出)
- 語彙
- 空所補充
- 下線部説明
- 発音
- 内容真偽
大問3の傾向
大問3の多義語問題については後で詳しく述べるが、二つの文の空所に入る共通語を選択する独特の形式だ。
- 大問3
- 共通語選択 (頻出)
小問形式の分析
小問形式を克服する
次の表は、過去14年分の試験問題を対象に大問ごとにどのような小問形式が出題されたかを一覧で示したものだ。
表中の色付けであるが、過去問を解いてみてできた問題は緑、できなかった問題はピンクにしている。
こうすることで、自分が苦手な問題分野や小問形式を把握できる。例えば私たちの場合は、内容説明、内容真偽、語句整序、アクセント、多義語が苦手なことがわかった。特定の問題分野・小問形式が苦手なことがわかったら、対策することができる。
語句整序問題の対策
小問形式のうち語句整序問題の正答率が悪ければ、語句整序問題対策用の問題集を追加する。私たちの場合は、時間がなかったので「短期で攻める 英語整序問題200」という薄い問題集を1冊やることにした。MARCHレベルならばこれでも充分だと思う。ただし、時間的な余裕がある方は、「大学入試 門脇渉の 英語[整序問題]が面白いほど解ける本」や「英語整序問題精選600 (河合塾シリーズ)」あたりをしっかりやったほうがなおよいと思う。
上で紹介した参考書を以下にまとめる。
- 「短期で攻める英語整序問題200」:整序問題を解くための視点を5つの「ルール」としてまとめてあり、演習で身に付けるというコンセプトのもの。早い人なら1週間、長くとも2週間あれば回すことができる。
- 「大学入試 門脇渉の 英語[整序問題]が面白いほど解ける本」:整序問題を解くための原則、ルール、テクニックがまるっと網羅されている。演習問題も豊富でこれをやれば整序問題で苦しむことはなくなるだろう。
- 「英語整序問題精選600 (河合塾シリーズ)」:言わずと知れた整序問題の老舗本。とにかく演習量を積みたい方にはお薦め。
内容一致問題の対策
高3の11月末くらいまで、英文は読めるが内容説明問題、内容真偽問題の正答率がなかなか上がらない状態が続いた。この形式の問題は、本文中に記載されている内容が選択肢と一致しているかを問うものであるので内容一致問題とまとめられることが多い。
具体的な対策として、「英語内容一致問題講義の実況中継 (実況中継シリーズ) 」に取り組んだ。この参考書は、選択肢の切り方など内容一致問題の攻略法が例題とともに解説されており、一読することをお薦めする。
仕上げとして、「パラグラフリーディングのストラテジー(1)」に取り組んだ。この本は、内容一致問題の対策だけでなく、様々な小問形式への対応力、そして読解力が身に付くすばらしい参考書だ。一押しである。英語のスケジュールでも書いたが、この参考書に2~3週間ほど取り組んだ後、選択形式の内容一致問題の点数が安定するとともに、長文を読むスピードが向上し、劇的に過去問の点数が伸びるようになった。
上で紹介した参考書を以下にまとめる。
英語長文と会話長文のテーマ
1994年から2014年までは長文問題が2題出題されていた(1999年は会話文が1題追加されている)。2015年から2022年は長文問題が1題、会話長文が1題という構成となっている。おそらくこの傾向は続くと思われる。
長文も会話長文も農学部らしく、環境問題、生物など自然科学に関するテーマのほか、言語・コミュニケーション、教育、哲学などに関するテーマがよく出題されているようだ。
長文を分析するのには理由がある。ひとつは同様なテーマの長文に慣れるとともにその背景知識を吸収すること。もうひとつは、個々のテーマでよく使われる言い回しや単語の意味など特徴的な表現に慣れることだ。大学ごとに特徴があるので、ぜひ英語長文を分析し対策してほしい。
1994年から2022年までの長文と会話長文のテーマのランキングは次のとおりだ。
- 環境問題:9回、コミュニケーション:9回
- 科学論:7回、文化:7回
- 教育:6回
- 生物:5回
参考までに1994年から2022年までの長文問題と会話長文の出題テーマを下表(2001年〜2003年分は赤本を入手できなかったためデータなし)に示す。
長文1 | 会話文 | 長文2 | テーマ | テーマ | |
---|---|---|---|---|---|
2021 | ゴリラのココができたこととできなかったこと | ディープフェイクについての男女の会話 | 生物 | 情報化社会 | |
2020 | 人々と地域に及ぼす園芸の効用 | フカひれスープの問題点についての恋人どうしの会話 | 農業・園芸 | 環境問題 | |
2019 | 時計の進歩と時差による経度の算出 | 「国連の持続可能な開発目標(SDGs)」についての夫婦間での会話 | 科学論 | 環境問題 | |
2018 | 人類を特別な存在と考えることへの疑念 | 宮大工のすばらしい仕事 | 生物 | 文化 | |
2017 | 「国際化」の真の意味 | ささやかな善意の輪(ペイフォワード) | 国際化 | コミュニケーション | |
2016 | 科学革命と市民革命を促した経験論の原理 | ある就職面接でのやりとり(種子バンク) | 科学論 | 生物 | |
2015 | アマゾンの熱帯雨林と地球温暖化 | ガーデニングをめぐる会話 | 環境問題 | 農業・園芸 | |
2014 | 化石研究の歴史 | アメリカ社会で成功するための条件 | 恐竜・化石 | 文化 | |
2013 | 計測学 | 努力と幸運 ー 我が家に受け継がれるモットー | 科学論 | 文化 | |
2012 | グランドキャニオンの壮大さ | クラーク先生のルール(教育方針) | 自然 | 教育 | |
2011 | 地球の水循環 | 手話と意味の関係 | 環境問題 | コミュニケーション | |
2010 | 熱と温度の違い | 偉大な文学を楽しむのに必要なこと | 科学論 | 文化 | |
2009 | 野生生物を救うための協力的な取組み | 消えゆく第二外国語講座と学ぶ姿勢の変化 | 環境問題 | コミュニケーション | |
2008 | 生態学の研究対象 | バイリンガルの人から学ぶべきこと | 生物 | コミュニケーション | |
2007 | 人間の言語のシステム | イギリスのパブリックスクールの特徴 | コミュニケーション | 教育 | |
2006 | 音声言語と身体言語 | 小規模学級の実現を拒むもの | コミュニケーション | 教育 | |
2005 | 農業の発達と生態学の知識 | アメリカの教育の特徴 | 農業・園芸 | 教育 | |
2004 | カクストンの印刷技術と英語の発達 | 正直を重んじるアメリカ人 | 科学論 | 文化 | |
2003 | ー | ー | ー | ー | ー |
2002 | ー | ー | ー | ー | ー |
2001 | ー | ー | ー | ー | ー |
2000 | 人間と自然環境 | 野生動植物の保護 | 環境問題 | 生物 | |
1999 | 共通語としての人工言語の限界 | 面会の予約をとるときの対話 | 日本の旅館 | コミュニケーション | 文化 |
1998 | 英国の湖水地方の自然保護に努めた女性 | 科学を学ぶ意義 | 環境問題 | 科学論 | |
1997 | アメリカのボランティアネットワーク | 母国語の表現能力と外国語の表現能力の関係 | 文化 | コミュニケーション | |
1996 | 科学の進歩から学ぶべきこと | 自由教育の意義 | 科学論 | 教育 | |
1995 | 工業化と汚染対策 | 経験と練習に伴う弊害 | 環境問題 | 教育 | |
1994 | 人類と生態系 | 視力の回復をめぐる医者と老婦人の言い争い | 環境問題 | コミュニケーション |
多義語対策は超重要
大問3の多義語問題は10年以上出題されている。
明治大学農学部の大問3は特徴的で、二つの文の空所に入る同じ単語を選択するものだ。全部で6問あり、大問3だけでおそらく配点は30点くらいにはなるのではないだろうか。
なので、ここで落とすと正直かなり痛い。
よって対策は必須だ。
具体的には、以下の対策を実施した。
- 「システム英単語」の「Stage5 多義語のBrush up」
- 「Next Stage 英文法・語法問題」の「第27章 重要多義語」
- 「英語頻出問題ポラリス1」の「Chapter 3 多義語」
- 「英語頻出問題ポラリス2」の「Chapter 3 多義語」「Chapter 4 点につながる語彙」
- 「英語頻出問題総演習」の「5章 語彙」の多義語問題
基本は1の「システム英単語」の「Stage5 多義語のBrush up」を完璧にすること。また、「システム英単語」を覚える際に、1単語1訳だけでなく、1単語複数訳を目指すことも重要。特に1単語で複数の品詞を持つものは必ず押さえておこう。ただし、いきなり複数訳を覚えると挫折する確率が高いので、まずは1単語1訳を完璧にした後、複数訳を覚えるようにしたほうがいい。
2以降は問題集だ。「システム英単語」で捉えきれない単語知識をさらに埋めるために語彙問題を中心に演習し、間違えたところを徹底的に覚え込んだ。
上で紹介した参考書を以下にまとめる。
まとめ
とにかく出やすいテーマや問題を徹底的に研究し、徹底的に覚え、演習することが大切だ。
これは他の大学を受験する場合も同じだ。
出題形式、小問形式、分野別問題などの対策についてもっと書きたいが、今日はここまで。別の機会に紹介する。
関連記事
なお、数学、生物の過去問分析の記事は以下を参照してください。